人生100年時代になり、定年後も健康で長生きする人が増えている。一方、活躍の場所が与えられずにただ時間を潰して過ごす高齢者も多い。この状況は「生きがいを感じながら長寿社会を生きていくために大きなハードルになっている」。長年ジェロントロジー(老年学)を研究してきた東京大学名誉教授の秋山弘子氏が持つ働き方への問題意識とは。「定年はセカンドライフのスタートライン」と考え、幸福に生きるヒントをお聞きした。
 70代半ばになった3年前に「セカンドキャリアを始めよう」と思って農業を始めました。
 以前は、定年退職すると「人生終わり、あとは余生」と考える人が多くいました。しかし団塊世代あたりから「定年はセカンドライフのスタートライン」だと考える人が増えてきています。
 ただ元気で生きるだけではなく、社会とつながり役割を持って生きること。そして小さいことでも良いから「ありがとう」と言われるような生き方ができること。その貢献寿命をどこまで伸ばすことができるか。それが「長寿社会のフロントランナー」としての日本が次に目指すべきゴールだと思います。