私たちは両親より10年ほど長生きし、20年ほど長く働ける可能性があるのに、世の中で力を持つ人の層は10歳ほど若返りつつある。
マックスプランク研究所で・・包括的な調査を行い、27歳から75歳までの年齢層で年齢と知恵のあいだにはほぼ何の相関もないことがわかった。この結果は一見残念かもしれないが、・・年長者のほうが長期的な利益につながる判断にはるかに優れていることを発見した。年齢が上がると未来を視野に入れた戦略的な判断を下せるようになる。
職場での「賢さ」とは何よりも、多岐にわたる情報を素早く取り込んで物事の「核心」を摑(つか)み、全体を俯瞰(ふかん)したり組織的に考えたりすることができる能力だと私は思う。
異なる世代が相互に補い合うという考え方は現代にこそぴったりだ。
今、人間の歴史上はじめて、5世代が同じ職場で一緒に働いている。沈黙の世代(70代半ばから終わり)、ベビーブーマー、X世代、ミレニアル世代、そしてZ世代。
この30年ほど、職場のメンバー構成における年長者の割合は上がっている。ニューヨーク・タイムズによると、アメリカのベビーブーマーの半分以上は65歳を過ぎても働くつもりか、引退しないつもりだという。
職場にあらゆる年齢層の人が一緒にいるという状況は、ある意味でややこしい。というのも、それぞれにまったく異なる価値観を持ち、働き方も違うからだ。一方で、これは世界がいまだかつて経験したことのないチャンスにもなりうる。