周囲の常識はともかく、どう考えても会社の仕事だけしか知らない人間になるのは怖いことだと思っていた。
なぜなら社会的地位が高い人たちは、そろいもそろって教養があふれていたからである。会社の課長や部長、取締役でさえも私が考える本物の成功者には程遠かったから、将来この人たちと一緒になっては大変だと反面教師にしていたのだ。もちろんその職業に就く者として最低限の知識や資格はすべて最短・最速で取得した。
だがそれでも私が読書を通して体験させてもらった賢者の世界には遠く及ばず、没頭するほどの価値は最後まで見出せなかった。
あなたにもきっと当てはまると思うが、定年後の人生は定年前の人生と同じくらいに長い。もし定年後の人生を本気で充実させたければ、趣味や教養がなければならない。仕事ひと筋だった人間は本当に退屈でつまらない人間になってしまうからだ。