50歳になった頃から、同世代の会社勤めの人たちがなんだかしょんぼりし始めました。「もう定年まで10年切ったし」「会社でやれることも多くないし」などと呟いて遠くを見ています。えええ、まだ50歳なのに?! 
なんで急に元気をなくしてしまったの? とびっくりしていたら、なんとあっちの会社にもこっちの会社にも「あと10年で定年だよ研修」みたいなのがあるのですね。もう終わりが見えてきたから色々考えとけよ、ってことらしい。
組織の肩書きは、やがて消えます。どんな成功も必ず忘却されます。なぜってみんな、生きるのに忙しいから。他人のことはそういつまでも覚えていられないのです。
組織の中で懸命に働いていると、そこでの評価や他人との比較が「世間の評価」だと勘違いしちゃうのですよね。で、惨めになったり人を恨んでみたり、はたまた得意になってみたり。そんなかりそめのものに大事な自分の価値を委ねたらもったいないですね。
長い会社人生の答えは、退職時の肩書きではありません。肩書きが全てとれた時の、丸腰の自分が魅力的かどうか。初対面の人に信用されるか。話していて楽しいな、また会いたいなと思われるか。それが、お棺の中まで持っていける唯一の業績なのだと思います。